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マードックについて(続編)

 まず、昨日書いたところなのですが、自分の中で異説が出ているので、それについてまず書いておこうと思います。

 Aのところ、自分は映画から着想を得て、過去へ向かう場面と書いたのですが、冒頭、Aで使われている旋律は、後になってそのまま登場します(具体的にはR以降)。先に書いてしまうと、そこは死後のマードックを表現していると思っています。いわば、マードックの旋律です。そうなると、同じ旋律が使われている冒頭やAの場面にマードックが既に登場しているのでは?

 そこで、昨日書いた「遺品」というのをマードックの手紙とすることにしました。誰かは分かりませんが(もしかしたら我々奏者が?)、現代になってマードックの手紙を見つけます。これが冒頭。

 で、Aは「女性が過去を語り始める」と書いたのですが、それでは映画に寄りすぎですね(やや反省)。手紙を見て、発見者(我々?)が過去に想いを馳せる、という感じかな。そして、マードックが船室で手紙を書いている様子が見えてくると、しっくりきませんか?

 さて、続きを見てみます。

 

 ・C、D
 自分の中で、6/8拍子というのは、かなり「海」のイメージが強いです。これは、あまり他の人に言っても理解されないのですが。

 まあ、それは置いておいて、ここは明らかに航海中ですよね。乗客の楽しげな気分が伝わってきます。もしかしたら、踊っている人たちもいるのかもしれません。Dは層が厚くなり、その雰囲気が増します。

 

 ・E
 木管楽器はさっきの旋律に似た動きをしています。これは、さっきと同じ、乗客の楽しげな気分が表現されています。ですが、この場面の主旋律はSax.やHrn.,Euph.です。CやDに比べて細かい音は減り、雄大な旋律です。ここからは先ほどの光景に加えて、広大な海と、そこを走る大きな客船が見えてきます。

 

 ・F
 どうやら夜になり、楽しい時間は一旦終わり、という気分ですね。それは、さっきの木管の旋律が、各楽器のSoloを経てだんだん落ち着いていくことからみてとれます。62小節目のPicc.,Fl.1stの掛け合いなんか、「おやすみ」「またあした」ってあいさつしてるみたいですね(これは完全な妄想)。ただ、各Soloにどういう意味があるのか(特にそのあとのCl.のSolo)、まだいい着想はありません。

 

 ・G、H
 これは、マードックの旋律の変形ですね。まず、マードックの旋律の”基本形”は、冒頭、1,2小節目の旋律です。4つの音で下行して、その後上行に向かう、という感じです(文で説明ってしにくいですね)。ここの旋律は、それに似ています。しかも、今は乗客が寝静まった夜、マードックがすることは……やはり手紙を書いている場面でしょう。

 タイタニック号は1912年4月10日にサウサンプトン港を出港しますが、4月8日に彼の妹に宛てて手紙を書いています。さらに、4月11日には両親に宛てて手紙を書いているそうです(これが、いわゆる「マードックからの最後の手紙」です)。宛先が違うとはいえ、3日おきに手紙を書くというのはけっこうハイペースな気がしますね。
 
 で、いわゆる最後の手紙には、何が書かれていたかというと、

 「サウサンプトンタイタニックが、米国定期船ニューヨーク及び自社のオーシャニックと危うく接触しかかった出来事、エイダとの別れ(注:エイダはマードックの妻、別れというのは単に出港で別れたということで、離婚とかではない)、ストライキの影響、そして両親の健康に対する丁重な心遣いで締めくくられています。仕事に関する気遣いから身の回りの出来事まで、さまざまな話題に触れた彼の手紙からは、彼が非常に有能な航海士であったこと、同時に彼がとても愛情深い家族想いの人物で、筆まめであったことがうかがえます。」

 とのこと。特に家族想いの文面というのが自分にはけっこう感じ入るものがあります。マードック家では過去5年で4人もの男が海で命を落としていたとのこと。当時の航海技術というものには限界がありますから、マードック家に限らず、海を渡るというのは(更にそこで作業をしたり、戦争をしたりというのは)、非常に危険なことでした。それにもかかわらず、両親の健康を気遣う気持ち……。

 Hになると、Fl.Soloがマードックの旋律そのものを吹きます。ここも基本的には同じ場面だと思っていますが、なぜFl.なのか、なぜGよりこちらの方が原型に近い旋律なのか…などはまだ考えきれていません。ただ、その後を考えると、マードックが夜の海を眺めている場面かなーと思います(下を読んだら繋がると思います)。いい着想があれば教えてください。

 

 ・Più mosso
 また先に言ってしまいますが、Iではもう氷山にぶつかってしまった後です。それを踏まえても、ここは氷山を見つけてしまって、ヤバい!ってとこですよね。ちなみに、氷山発見時、マードックはブリッジ(艦橋)で当直をしており、彼が運航責任者であったため、回避行動を命令しました。

 Ships Bellとか、氷山の発見を知らせるベルなのだと思います。6連符の上行形が、緊張感を高めます。そしてCresc.していって……。

 最初聴いた時は、氷山を見つけた、とかいう感じにはあまり思いませんでした(同じことを思っている人も多いのでは)。それは、一つには、ゆったりした場面からヤバい場面への過渡期なので、どっちつかずなところがあって、で、そうなると、前の方の場面のイメージをどうしても引きずってしまうからかな、と思いました。なんにせよ、難しい場面ではあります。


 さて、今日はここで時間切れ。続きはまた折を見て書きます。お楽しみに。

 それと、「自分はこう思う」っていうのがあったら、ぜひ教えてください。