ギリシャ旅行記(前編)

○5/11(日): 前段、アテネ到着

 

この日は夜までクロアチアドゥブロヴニク(Dubrovnik)にいた。

 

本来、この旅行はギリシャ訪問がメインイベントだった。それなのにこの場所に寄ることに決めた理由は2つ。クロアチアに行ってみたかったということと、アテネ行きの安い飛行機が飛んでいたということ。実際、クロアチアらしさというよりは、旧共産圏の影とアドリア海のリゾート地らしさ(とそれに起因する物価の高さ)を感じることになったのだが。

 

というわけで、この日は21:50発の飛行機に乗る予定だったのだが、案の定遅延した。案の定というのには理由があって、この便はVoloteaというなかなか聞かない名前のLCCが飛ばしていたから、以前から少し不安を持っていたのだった。

結局飛行機は1時間以上遅延し、加えて1時間の時差もあり、アテネに着いたのは現地時間翌02:00頃。疲労困憊の中、小一時間バスに揺られて(立ちっぱなし!)、ようやく宿までたどり着いたのだった。

 

  

○5/12(月): アテネ市内観光、スニオン岬

 

アテナイのアクロポリス

 

そんなわけで、翌日は朝になっても爆睡していた。目覚めたのは10時くらいだったと思う。

遅延がなくともかなり夜遅くに着く予定だったということもあり、この日はあまり遠出せず、市内(主にアクロポリス)とその近郊(といっても道のりで100kmほどあったが)を観光することにしていた。

 

まず向かうはアクロポリスアクロポリスの徒歩圏内に投宿していたのはラッキーだった。道中の市場でイチゴを買って朝・昼ごはんにする。1€分と言ったつもりが、1kgと勘違いしたらしく、山盛りのイチゴを渡されてしまった。それでも2€くらいだったけど。

 

   * * *

 

アクロポリスを含む7つの史跡は、共通チケット(30€)で回ることができる。EUの学生はタダ。

 

・余談: ギリシャで回った史跡や博物館は全て、EUの学生は無料だった。今回の旅行で、少なくとも70€は節約できた。複数回入った施設の分も考えると、軽く100€は浮いた。

フランスでも多くの場合無料、少なくとも割引は存在する。でも、北欧や中欧では、EU圏の学生でも通常の料金を払わされることが多かったので、各国で格差があるのだろうと思う。その意味で、ギリシャには好感を持った。むしろ自国の経済は大丈夫なのかと問いたくならないでもないが、学生以外からはしっかりむしり取っているからいいのだろう。 

 

   * * *

 

日曜とはいえまだ5月なのに、アクロポリスは人が多かった。7月などはすごいことになるのだろう。

ここに登るに至ってようやく、アテネに来たのだという強い実感を得た。

 

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音楽堂。なんとまだ現役で使われているらしい。

 

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パルテノン神殿。人が多かったので後ろから。

 

どこを訪れるにしても、「2度目がある」と思うのはあまりよくないとは思う。でも、できたら残り3日間のうちどこかで、人がいない早朝に来よう、と思った。

 

 

・スニオン岬(ポセイドン神殿)へ、早速の受難

 

13:00過ぎ。この日のアテネ市内観光はひとまず終わり。次はスニオン岬なのだが、そこへ向かうバスと、翌日訪れる予定であったミケーネへ向かうバスが"問題"であることは、来る前からわかっていた。そのため、情報収集のために奔走していたのだが、これについては翌日の部分に書くことにしよう。

 

さて、ネット上の情報によると、スニオン岬行きのバスの発車場所と思われる位置はだいたい判明していた。発車時刻は、午後だと14:05、15:30、17:05(最終)とのことだった。

 

15:15頃、バス発車地点周辺に到着。ターミナルとかではなくただの道路で、バスが何台か停まっている。そして、歩道の一角に券売所のようなところがあった。どうやら運行会社らしい。

「スニオン行きはどこから発車するか?」と尋ねると、目の前から少し左側くらいを指差し、「ここだ」と言われた。

よかった、15:30のバスに無事乗れそうだという安堵感に包まれ、すぐそばのキオスクで水とアイスを購入。バスを待ちつつ、乗車場所の真ん前で悠々とアイスを食べる。この時は、完全に成功を確信していた。

 

アイスを食べ終わり、ふと時計を見ると15:29になっていたのだが、バスが来る気配はない。少し変だなと思ったのだが、間違えているはずはないという謎の確信とともにバスを待っていた。



15:35くらいになってさすがに少しおかしいと思い、先ほどの券売所の人に「バスはここに来るんだよね?」と聞くと、「違う、あっち!」と言われる。

 

え?

 

完全に意味がわからなかったのだが、どうやら先ほど左側を指差していたのは、真ん前の道路ではなく、その向こう側のスペースだったらしい。

 

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この図でだいたいお分かりいただけるだろうか

 

何が起こったのか考える暇もなく、とにかくダッシュで乗り場へ向かうものの、ここは始発停留所のため非情にもバスは定刻発車。なんと1時間半待ちが発生してしまった。

 

とはいえ、券売所のおじさんは何も悪くないので、しょうがない。ちょうど近くに国立考古学博物館があったので、そこで時間を潰すことに。「博物館で時間を潰す」なんてことができるのも、EU圏学生ビザのおかげである。ありがたい。

 

   * * *

 

17:00頃、無事バスに乗車。1時間半ほどバスに揺られて、スニオン岬に到着。

さて、このスニオン岬は、アテネの所在するアッティカ半島の最南端であるばかりではなく、ポセイドン神殿の存在でも知られる。

 

 

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ポセイドン神殿。

 

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神殿のそばから西方を望む。半島最南端とはいえ、島はたくさんある。

 

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帰る直前に。


 

 

20:00、アテネ行きの終バスに乗る。終バスが20時だと、日の長い時期は夕日までいられないのが少し惜しい。ツアーだと、夕日まで見て帰れるというのを売りにしている。個人手配だとそれはなかなかできない。

 

22:00頃に宿に帰ったのだが、お腹がペコペコ。この日は、アクロポリスへの道中で買った(買わされた)1kgのイチゴと、バスを逃しながら賞味したアイスしか食べていない。ということで、近くのタベルナへ。タベルナというのは、ギリシャ風食堂/居酒屋のこと。

 

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ギリシャ風サラダ。チーズがどでかい。

ギリシャ風サラダは、写真の通り鎮座している山羊のチーズが特徴らしい。これだけでもお腹いっぱいになりうるボリューム。

 

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ムサカ(moussaka)。底の方にはひき肉がごろごろ。

ムサカ(moussaka)というのは、ギリシャ風ラザニアらしい。これが本当においしかった。昨夜から大変な旅路であった身にしみわたるおいしさだった。とりわけ茄子の滋味を強く感じる。

 

宿に戻る。心身ともにかなり疲れていたので、この日も爆睡。こうしてようやく、ギリシャ旅行1日目が終了したのだった。

 

 

○5/13(月): ミケーネ観光

 

・序章 - 情報収集

 

さて、この日はミケーネに向かうことにしていたのだが、ミケーネへ向かう電車はない。というか、ギリシャ自体EU諸国と比べてあまり鉄道網は発達していないらしい。そこで長距離バスを使うことになるのだが、インターネット上の情報があまりにも少ない。

運行会社のHPには運行時間が書いてあるものの、肝心のバスターミナルに関する記述がなく、ただ「アテネ」としか書かれていない。旅行記やフォーラムにも断片的な情報しかない上に、そもそも旅行記を当てにするのはあまりにも心許ない。

 

本当にここはEU加盟の先進国なのだろうか……。ちょっと失礼だが、そんなことを考えた。経済の停滞があったにせよ、良くも悪くもこの国は少し古い生き方を続けているのだと感じる。ちょっと時計が戻っている感じ。そこに好感を抱くこともあれば、こうして困ることもある。

 

スニオン岬に関する情報は比較的多かったのだが、ミケーネと(後日向かうことになる)デルフォイに関しては情報が少ない。後から分かったのだが、こうしたいわば僻地には、普通はバスツアーやレンタカーで行くらしい。しかし、バスツアーに払う金もなく、異国で運転する資格も度胸もない自分は、できるだけ個人で向かいたいと思い、前日に情報収集をすることにした。

 

 

     * * *

 

 

まずはラリッサ駅(アテネ中央駅)へ向かってみた。中央駅とは書いたが、ラリッサはかなり寂れた駅だった。ここなら何か情報を得られるかという期待を萎ませつつも、インフォメーションの人に聞いてみると、以下のように言われた。

 

「おそらく2つのバスターミナル、リオシオンかキフィソスのうちのどちらかだが、どちらかはわからない。」

 

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ラリッサ駅の受付のおじさんの証言。メモを渡してくれた。

 

わからないのか……。早速挫折を味わいつつ、丁重に礼を言って撤退。

 

次は、先述のスニオン行きのバス乗り場へ。そのチケット売り場のおじさんに聞いてみる。曰く、

 

「キフィソスだね。」

 

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なぜかみんなメモを渡してくれる。優しい。

 

なるほど、やはりキフィソスなのだろうか。しかし、この国はいろいろ適当だし、2人に聞いてみたくらいでは安心できない。少し歩いたところにあるバス会社のチケット売り場でも同じ質問をしてみることにした。

 

この窓口の女性は、かなり丁寧に説明してくれた。 

「キフィソスからミケーネに行ける。キフィソスへは、オモニアから051番のバスに乗っていけば着ける。」

 

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めっちゃ丁寧に教えてくれた。

 

これでさすがに確実だろう。ミケーネに行くにはキフィソスのバスターミナルへ行けばいいことは間違いないらしい。少なくとも、この人の証言は最も信用に足るものだった。

こうして、謎解きアトラクションめいた情報収集を終えたのだった。

 

 

・バスでミケーネへ

 

当日は8時前に起床したと思う。シャワーを浴びて、まだ寝起きのままミケーネ行きのバスの時間を調べた。

正確にはわからないながらも、最も信憑性の高そうな英語のサイトによれば、今から間に合うバスは09:30、次が11:00らしい。天気予報によれば雨も降るらしく、できれば早い時間に行きたいと思ったので、間に合うかはわからないが(そしてそのバスがあるのかもわからないが)09:30のバスを目指し、ホステルを出た。なぜいつもこう、事前に調べるということができないのだろう。

 

キフィソス直通のバスがあるらしいのだが、道路状況によって平気で遅延する可能性もあるので、地下鉄で向かう。

 

最寄りの地下鉄駅に降りたのが09:15。バスターミナルまでは1km以上あるらしい。チケットも買っていないので、やむを得ずタクシーをつかまえる。

何分で着くか?と聞くと、首をひねりながら"traffic"と言われた。やはり道路状況によるということなのだろう。少し不安になるも、結局5分ほどで到着。

ギリシャのタクシーは安めなのだろうか、道のり2kmで3.7€ほどだった。チップを渡しても5€いかない。

(余談だが、パリだといくら短くても最低7€は払わないといけないというルールがある。だからUberなんかを使いたくなるわけだけど。)

 

さて、チケット売り場とおぼしきコーナーへ。どうやらネットの情報通り、09:30発のバスがあった。往復のチケットを購入し、目の前に止まっているバスへ乗り込む。

 

バスは定刻に発車した。

バスの目的地はナフプリオンという港町で、その途中にフィクティアという街がある。そこからミケーネまで数kmで着けるということらしい。

 

11時頃。「ミケーネ、フィクティア!」と運転手さんが告げて、バスが止まった。

なんと、40人ほどの乗客のうち、ここで降りたのは自分一人だった。さすがに数名は他にミケーネに行く人がいるだろう、そしてその人たちと情報交換しつつ向かえるだろう、と思っていたのだが……。

 

噂には聞いていたが、本当に何もないところに降ろされた。ともかく、すぐそこにあったお店に入って、ミケーネへのアクセスを聞いてみる。お店の女性が親切に教えてくれたのだが、やはり徒歩かタクシーということになるらしい。タクシーは5€らしく、お店の人が呼んでくれると言ってくれたので、タクシーで向かうことに決めた。

ただ、朝から何も食べていないので、腹ごしらえのために近くにあったタベルナに入った。

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タベルナ。フィクティアがどんなところか、だいたい想像いただけるだろうか。

お店のおじさんにおすすめを聞き、ザジキ(tzatziki)とスブラキ(souvlaki)をチョイス。

 

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ザジキ(tzatziki)。けっこうぎょっとする見た目ではある。

ザジキは、オリーブオイルをかけたヨーグルトにパンをディップする、って感じ。字面はすごいことになっているのだが、これが美味しい。ヨーグルトの味が独特で、普通のヨーグルトではなくていろいろ味付けされてる。

 

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スブラキ(souvlaki)。一見焼き鳥っぽいのだが、味の方向性は「塩焼き鳥」とは全然違う気がする。

スブラキの方は、肉の串焼きのこと。鶏のスブラキをお願いしたのだが、これも美味しい。塩味は薄く、あくまで香草とレモンで食べるのが現地流ということらしい。

 

こんな辺鄙な場所のタベルナに来れたのも、何かの巡り合わせかもしれない。とにかくおいしかったし、安かった。

 

     * * *

 

さて、腹ごしらえを終えて、タクシーを呼んでもらおうとさっきのお店へ向かうも、先ほど応対してくれた親切な女性は休憩に入ってしまったのか、見るからに堅物なおじいさんが店番をやっていた。

「タクシーを呼んでほしい」とお願いしてみたのだが、自分で呼んでくれとのこと。まあそれが普通だよね。

で、タクシー会社に電話すると、「全車出払ってるから無理」というようなことを言われ、切られてしまった。かくなる上は歩くしかない。

 

ということで、とぼとぼ歩き始めた。道のりにして5kmほど。ミケーネは丘の上なので、行き(上り)はタクシーで行きたかったのだが……。

 

と思って歩いていると、横に車が止まり、「上まで乗っけていってやる」と言われた。結構つらそうな道のりだったので、お言葉に甘えて乗せていってもらった。ありがたい。

 

運転してたおじさんは、道中ずっと"Fuji!" "Tokyo!" "Kawasaki!"などと、知っている日本の固有名詞をずっと口に出していた。ちょっとよくわからなかったのだが、どうやら日本にいたことがあるらしい。ありがたい話。

 

そうしているうちに、丘の上に到着。さすがにありがとうで済ませるのもどうかと思い(それなりに長かったから)、少しお金を渡そうか、それはさすがに無粋だろうか、と考えていたのだが、なんと「トランクに積んでいるオレンジをあげる」という予想外のカウンターをもらってしまった。結局、送ってもらった上にオレンジまでいただき、何度もお礼を言ってお見送り(彼らはミケーネに向かっていたわけではなかったのに僕を拾って行ってくれたのだ)。 

 

     * * *

 

さて、肝心のミケーネ遺跡なのだが、これは写真の方が雄弁に物語ってくれるだろう。

 

まずはアガメムノンの墓。

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アガメムノンの墓、入り口。

 

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内部はこんな風になっている。

 

次いで、少し歩いたところにある宮殿(城塞)。

 

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手前にある小高い丘の、城壁に囲まれたあたりが遺跡。

 

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卑近な連想なのだが、建物の跡から草花が顔を出しているのを見ると、『ラピュタ』を思い出してしまった。

 

 

 

正直、僕は全然ギリシャ古代文明とかものすごく興味あるわけじゃなかった。ただ、専攻の先生から「ヨーロッパ旅行するならギリシャは絶対に見て来なさい」と言われたので、予定に入ってなかったギリシャを追加して旅程を組んだという経緯がある。

 

ミケーネ文明が興ったのは約3500年前、海の民に滅ぼされたのがそれから約300年後。世界史やってないからちょっと調べていっただけだけど。果てしない。

そして、(ミケーネはまた違うけど)ギリシアの文明が私たちに及ぼしているもの、とてつもない。そんな感じで、なんだか神妙な気持ちになってしまった。

 

 

 ・帰路、またの受難とアテネの危険地帯

 

さて、遺跡見学を終えて帰ろうという段になったのだが、どうやらミケーネからフィクティアまでバスが出ているらしい(フィクティアからは出てないのかよ)。駐車場にいる観光バスの運転手やカフェスペースの店員らが口を揃えて「3時にバスが来る」というので、それを待つことにした。歩いてもよかったのだが、雨も降っていたし、結構疲れていたし。

 

果たして、そのバスは(10分遅れだったが)やってきた。「このバスはフィクティアに行くよね?」と運転手に入念に確認し、乗車。路線バスじゃなくて高速バスみたいな車両が来たのだが、自分を含めて3人しか乗ってなかった。

 

先ほど車に乗せてもらって登ってきた道を下りていく。やっぱりけっこう距離がある。

 

で、フィクティアのバス乗り場周辺まで来たのだが、バスはここをスルー。どんどん進んでいく。

 

「ここで降りたいって言おうかな?」と思ったのだが、もしかしたらこのうら寂れた場所はフィクティアの中心地ではなく、このバスはその"中心地"へ向かっているのかもしれない、と思い直してやめた。

それに、Googleマップなんかずっと見て"保守的な"旅行をするのもなんだかなあ、という意味のない強がり(これも「自力で/自由に旅行すること」への信仰だろうか?)もあり、バスが行くままに任せていた。

 

しかし、10分くらい経って、さすがにおかしいと思ったので、「このバスはフィクティアに向かってるんですよね?」と聞いてみると、運転手は"あっしまった…"とでも言いたげな顔をしてみせた。

 

こいつやりやがった。「フィクティアに行くんですよね?」って確認したのに。ていうか乗客3人しかいないのに。何考えて運転してるんだ?

 

確かにバス乗り場にさしかかったあたりで「ここで降ります!」って言えばよかったのかもしれないが、それは結果論だろう。運ちゃんが「フィクティア?OK!」って言ってたんだからさ…。

 

といろいろ考えつつも、隣町のアルゴスまで到着。あとから調べてみると、フィクティアから10km以上離れている。ほんとなんなんだろう。

 

とはいえ、どうやらフィクティアからアテネに帰るバスは、ここにも停まるらしい。ナプフリオン→アルゴス→フィクティア→アテネという順番でバスは運行するので、ちょっと遠回りにはなるが、ともかく1本でアテネに帰れる。事情を説明すると、追加料金などはなしで乗っていいとのこと。

幸運にも、アルゴスに着いて10分ほどでバスが来た。アルゴス自体も遺跡があるらしいのだが、さすがにこれ以上の面倒ごとは勘弁なので、そそくさとバスに乗ってしまった。

コリントスなんかにも停車しつつ、18時頃にアテネに到着。ご飯を食べるにはまだ早いので、前日も訪れた考古学博物館に向かうことにした。なんとここは毎日20時まで開いている。

結局この日も見終わらなかったので、閉館時間20時頃に博物館を後にしてタベルナを探す。

 

空腹ではあったが、街歩きも兼ねて適当に歩きながらタベルナを探すことにした。

 

     * * *

 

博物館から宿の方向へなんとなく歩いていたのだが、途中で道を間違えてしまった。それに気づいたのは後の話なんだけど。

 

そもそも、アテネの都市設計(?)ってけっこう独特なものがある気がする。というのも、大きな通り同士って普通直角に交差すると思うんだけど、アテネだとそれに加えて斜めにぶっとい通りが走ってるパターンがあった。だから、なんとなく歩いていると、横断歩道を渡っているうちにその斜めの道に入っちゃう。どの通りも同じような店が続いてたし。

これが微妙な角度で交差してたらまだいいんだけど、ほぼ斜め45度で交差してるからタチが悪い。どういう角度で歩いて来たかわかんなくなっちゃう。自分は方向音痴ではないと思うんだけど、アテネではこういうところにアジャストできず、全然違う方向にずんずん歩いていっちゃった。

 

というわけで、道を間違えたことに気づいたときには、けっこう外れたところに来ていた。で、細い路地を通って宿の方向へ向かおうと考えた。タベルナも探したかったし、街歩きにもちょうどいいやと思って。

 

少し行くと、ホテルやレストランなんかがなくなり、その代わりに道に散乱しているゴミがどんどん増えていった。そして、あきらかに道行く人の"人種構成"が変化していった。

 

自分がパリで住んでいる街というのも少しそういうところがある。黒人が多いし、いわゆる"パリ"って感じじゃない。でもその代わり、物価は安い。

だから、そういうのに慣れて、感覚が麻痺しちゃってるところがあると思うんだけど。多分いわゆる"普通の日本人"が来たら裸足で逃げ出すんじゃないか、そういう感じの通りだった。

 

でも、そんな自分もさすがにかなり不安になってしまった。何しろ、土地勘が全くないから、何かあったときにどこに逃げればいいのか?っていうところもある。かといってスマホGoogle Mapをずっと見ていると(しかもアジア人が!)、犯罪者からすれば格好のカモなわけで。

というか、パリにある"こういう"通りの何倍も"ヤバい"感じがした。そもそも、街灯が少ないから、めちゃくちゃ暗い。それに、明らかに挙動がおかしい人が何人もいる。ずっと同じところをぐるぐる回っている人とか。歩道にしゃがんでうずくまっている人もたくさん。完全にヤクやってるよね。変な匂いが充満していることはいうまでもない。

 

 

いくら街歩きとはいえ、こんな見るからに危ないエリアからは脱出すべしと思い、結局このエリアからは早々に撤退。前日と同じエリアに向かい、タベルナに入った。前日の家庭的な(?)タベルナとはちょっと違って、テラスで音楽なんか演奏してる、そういう感じのとこ。

 

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サラダ。具材が細切れなのは店側も楽なんだろうけど、実際食べやすくもあった。

名前忘れちゃったけど、ギリシャ風サラダの亜種だった。バルサミコ酢が入っていたのだが、こういう感じになるのねって思った。玉ねぎがおいしい。

 

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またスブラキ。

またスブラキ。スブラキっていうのは羊肉でやるのがメインらしいので、ここでは羊をチョイス。バス移動中『イリアス』読んでたんだけど、『オデュッセイア』にしろ『イリアス』にしろ、肉といえば「牛」か「羊」か「山羊」だよなあ、と思う。鶏とか豚ではないよね。遺跡見たあとだったっていうのもあって、「これが古代の人々の食べていた肉の味だったのか...」などと感慨に浸っていた。今見返すとポテトとか満載なんだけどさ。

 

そんなわけで、ギリシャ旅行の前半を折り返したのでした。読んでくれてありがとうございます。後編もお楽しみに。